北村 高之 院長(北村脳神経クリニック)のインタビュー

北村脳神経クリニック 北村 高之 院長

北村脳神経クリニック 北村 高之 院長 TAKAYUKI KITAMURA

早稲田大学人間科学部人間健康科学科卒業。順天堂大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科専攻(博士課程)修了。順天堂大学医学部脳神経外科入局。以降、附属及び関連病院に勤務。2024年5月、『北村脳神経クリニック』を開院(JR京浜東北・根岸線「本郷台駅」より徒歩3分)。

医療への想いが徐々に募っていき、父と同じ道に

 初めは、早稲田大学人間科学部に進学しました。この度開院した『北村脳神経クリニック』で診療を共にすることになった父は、長年、横浜栄共済病院で脳神経外科医として勤務していました。その父の仕事ぶりを見て育ったわけですけども、高校を卒業する段階では、「医者になる」とまで明確な意思は持っていなかったのです。しかし、やはりと言いましょうか、早稲田大学に進んでも、自分が興味を持てる分野は医療でした。早稲田大学では、医療倫理とも訳されるバイオエシックスを専攻していました。そこで医療関係者の方とお会いし、様々な施設を訪れ、話を聞く中で、「医療を仕事としていきたい」という気持ちがどんどんと強くなり、改めて医学部の門を叩くことになったのです。順天堂大学を卒業後、最初に興味を持ったのは、救急医療でした。何の病気かもわからない、生死に関わる初期治療に携わるというのは、大きなやりがいでした。その一方、その初期治療の先のところ、専門でなければ患者さんを救って差し上げられない分野があるという事実にも向き合っていくことになります。父がそうだったというのも大きいですが、その専門性という部分で徐々に惹かれていったのです。また脳神経外科は、くも膜下出血にしろ、脳梗塞にしろ、その後の日常生活に大きな影響を及ぼす疾患を多く扱います。その場の治療だけに終わるのではなく、患者さんのその後の人生に寄り添えることに、救急医療とはまた異なる大きな魅力を感じたのです。

地域の脳神経クリニックとしての役割を果たしていく

 2024年5月に開院した『北村脳神経クリニック』は本郷台の駅から徒歩3分の位置にあります。院内はバリアフリーとなっていますので、車椅子の方も比較的通院しやすいのではないでしょうか。私たちのクリニックの役割は大きく分けると2つあります。1つ目は、過去に脳の病気を患った方のかかりつけ医としての役割です。先にも申し上げましたように、父は長年、この地域で脳卒中を含めた急性期の治療に携わってきました。実際、これまで父が拝見してきた患者さんが多く来院されており、その方々を見守るかかりつけ医としての役割を全うしていきたいと考えています。

 そして2つ目が、最近にわかに注目を集めている「頭痛」です。実は、初診の方の7割から8割は、頭痛の方です。10代からご高齢の方まで幅広い年齢の方々がご相談に見えています。つい最近まで、頭痛は痛み止めを出されて終わり、というケースが多くありましたが、昨今はお薬の種類然りで、治療の選択肢がずいぶんと増えてきました。これまで市販薬でなんとかしのいできた、という方、あるいは以前から頭痛を持っているんだけれども受診の経験がないという方に対し、頭痛専門医としての治療を提供していきたいと考えています。頭痛には様々な原因が考えられますが、まずは命に関わるような怖い頭痛ではないか見分ける必要があります。その鍵となるのが、フィリップス社製の高精細MRIです。当院のMRIは、検査自体の高速化・画像診断の質の向上もさることながら、検査の敷居を低く感じていただけるよう工夫を凝らしたものになっています。従来のMRIはその閉鎖性から、閉所が苦手な方にとって苦痛を強いられるものでありました。今回導入したMRIは、そのストレスを少しでも緩和できるよう、間口も広くなっており、映像と音楽を見たり聞いたりしながら検査を受けれるようになっています。「ここのMRIであれば受けられる」と多くの方に好評をいただいています。

温かみのある診療を心がけていきたい

 私自身にとってもここは地元ですので、地域の方との会話を大事にしていきたいと思っています。もちろん、時間的な制約はどうしても出てくるとは思いますが、患者さんの訴えであり、患者さんが「聞いてほしい」と思っておられることをあますところなく伺っていきたいですね。患者さんを診察室にお呼びする際は、私自身がドアを開けてお迎えするようにしています。こちらは大きな病院ではありません。みなさんの近くにいつもある存在として、少しでも温かみを感じられる対応を心がけています。幸い、スタッフもみんな優しくて温かい方ばかり集まっていただいたと思っていますし、医療人であるのと同時に、同じ地域に住まうものとして、温かみのあるお付き合いをさせていただければと思っています。

頭痛には様々なタイプがあり、中には大きな病気が潜んでいることも

 頭痛にも様々なタイプがあります。中には大きな病気が隠れていることもありますので、まずは緊急での治療が必要な原因があるかどうかをMRIによって鑑別していくことになります。認知症の判定など、検査の内容によっては一両日お時間をいただくケースもありますが、基本的には即日、検査の結果をお伝えすることが可能ですので、患者さんにいち早く安心いただけるのではないかと思っています。

 大きな病気以外でも、頭痛には偏頭痛や緊張型頭痛などがあり、最近では薬物乱用性の頭痛のケースも増えてきています。痛いからお薬を飲まれているのに、その飲んでいるお薬が逆に原因になっていることが少なくないのです。先にも申しましたように、これまでは大きな病気が隠れていなければ、お薬を処方されて終わり、ということが少なからずありました。専門医として、そこから一歩二歩踏み込み、頭痛のタイプを鑑別し、必要なお薬とその量を調整するだけでなく、生活習慣や環境にまで関わっていくことで、頭痛の緩和を図っていきたいと考えています。まだ開院からさほど日は経っていないのですが、目に見えて改善された方も少しずつ増えてきています。ある方は、これまで毎日ほぼ痛かったのが、1ヶ月に5日くらいになったと感激されていました。まだ十分とはとても言えませんが、それだけ長年適切な治療を受けられていなかったのだと強く実感する出来事でした。これまで頭痛は軽視されてきた面がありますが、多くの方にとっては長年にわたって苦しむ大きな悩みであり、その想いに寄り添っていける存在になれればと思っています。

地域のみなさんへメッセージ

 頭痛の患者さんにとって、強い光は痛みを呼び起こすものになることがあります。そのため、当院では暖色系のライトを採用し、少しでもストレスがかからないよう配慮しています。落ち着いた雰囲気の中で、少しでもゆったりとして診療を受けていただければ幸いに思います。MRIは、他科の分野においても検査機器として非常に有用なものです。「餅は餅屋」と言いますが、他科の先生方とも密に連携を図り、MRIを有効活用していきながら、一緒に地域の医療を支えていければと考えています。脳神経外科にまつわる疾患は、全身の症状として生じることがあります。ですので、何かお悩みの症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。地域の頼れるクリニックとなるべく、今後も精進を続けてまいります。

 

※上記記事は2024年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

北村脳神経クリニック 北村 高之 院長

北村脳神経クリニック北村 高之 院長 TAKAYUKI KITAMURA

北村脳神経クリニック 北村 高之 院長 TAKAYUKI KITAMURA

  • 出身地: 石川県金沢市
  • 趣味: サッカー、フットサル
  • 好きな言葉: 「親しき中にも礼儀あり」
  • 好きな映画: 邦画全般
  • 好きな場所: 横浜

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