菅原 道人 副院長（菅原歯科医院)のインタビュー

父と母の姿を見て、歯科医の道へ

　父は歯科医師、母は歯科衛生士の家庭で育ちました。二人とも家で仕事の話はほとんどしなかったですね。「歯科医になれ」と私に言うこともなかった。しかし、自宅の近くで開業していたため、幼い頃よく遊びに行っては両親の働く姿を見ていました。そのせいか「自分も歯科医になるだろう」と、自然に感じていたと思います。神奈川歯科大学へ入学し、専門は一般歯科でした。いずれは父の跡を継ぎ、地域のかかりつけ医となるため一般歯科を選びました。その後、約3年間新横浜にある歯科医院にて勤務し、多くの症例を経験しました。これまで、父は治療について私に「こうしなさい」と言うことはほとんどなかったです。ただ、「患者さんを家族だと思って治療しなさい」とだけ、言われました。「家族だと思えば、必ず丁寧な治療を心がけるだろう」。この言葉は医療従事者として、とても大事なことだと思います。大学病院も含めて多くの患者さんに出会いましたが、どの患者さんにも自分の家族のように接し、治療をしてきたつもりです。これからも、その心得は大事にしていきたいですね。

約50年、地域のかかりつけ医として歯科医療を提供

　「菅原歯科医院」は、1947年に祖母が開業しました。当初は、横浜市西区で開院し、1975年から現在の栄区に移転。地域のかかりつけ医として約50年ほど歯科医療を提供していて、私自身も新横浜の歯科医院に勤めたあと、2008年から当院の副院長として勤務しています。当院の患者さんは高齢の方が多く、入れ歯のメンテナンスや歯周病の治療などが多いですね。来院が難しい患者さんには、訪問診療も行っています。高齢の方々は、今の現役世代と違って、子どもの頃学校などで歯科指導を受けていない世代です。そのため、どうしても歯の健康に対し消極的な方が多く、虫歯や歯周病が原因で歯を失ってしまった患者さんも多くいらっしゃいます。当院は、ご自分の歯を少しでも長く残せるよう、治療に励んでいます。歯を数本失ってしまっても、いつまでも食事を楽しんでいただきたい。それに、口から栄養を摂取することは長生きをするためにも大事なこと。そのためには治療だけでなく、普段の歯磨きの方法も指導しています。たいていの患者さんは、正しいブラッシング方法を知ると、驚くほどお口の中が綺麗になります。指導も含めて、患者さん一人ひとりに合った治療を行っています。

患者さんの気持ちに寄り添うことが大事

　いつでも患者さんの気持ちに寄り添えるように、患者さんとのコミュニケーションを大事にしています。特に、高齢の患者さんは気遣いのある優しい方が多いので、時々「私に遠慮をして本音が言えないのではないか」と感じることもあります。長く通っていただいている患者さんほど、気を遣っていらっしゃるかもしれません。治療方法について説明する際も同じです。こちらが良いと思っている治療法でも、患者さんにとっては望まない場合もあります。そのため、患者さんが要望を言いやすくなるような雰囲気づくりを心がけています。また、歯科治療について分かりやすく説明したつもりでも、患者さんにとっては分かりづらい場合もあり、「分かりにくい」と言い出せるような雰囲気も大事にしたい。常に、患者さんの気持ちに寄り添えるように「この患者さんにはこのような言い方が良いかな」「今の説明は分かりやすかったかな」と試行錯誤しながら、接しています。

ハイリスクな歯科治療はなるべくせず、持病に配慮した治療を

　当院では、高齢の患者さんにはインプラント治療を勧めていません。高齢の方にインプラント治療はハイリスクだと感じています。そのため、義歯の治療をメインで行っています。義歯は、取り外しが出来ますし、お手入れも比較的簡単です。また、外科手術も不要です。治療期間も短く、保険適用も出来ます。義歯を入れたあとも、定期的に当院にお越しいただければ、メンテナンスも出来ますので、長く保つことが出来るでしょう。持病に関しては、普段飲まれている薬もありますので、歯科治療全般において、服薬に配慮することも必要です。ときには、他院との連携も必要ですので、患者さんの全身の健康に配慮した歯科治療を行っています。

地域の方へのメッセージ

　歯科治療に限ったことではありませんが、治療はなるべく早く始めた方が良いかと思います。気になることがあったり、違和感を感じていたりしたら、なるべくお早めに当院にお越しいただき、ご相談いただきたい。当院は、約50年近く歯科医院をしているので、多数の症例を経験しています。長く通われている方も多く、中には3世代で通われている方も。どうぞ、気軽な気持ちでご相談ください。こちらも、患者さんが話しやすい環境を整えて、お待ちしています。

※上記記事は2023年10月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。