名倉 義人 院長(本郷台ホームクリニック)のインタビュー

本郷台ホームクリニック 名倉 義人 院長

本郷台ホームクリニック 名倉 義人 院長 YOSHITO NAGURA

名古屋市立大学医学部卒業後、春日井市民病院で初期研修修了。東京女子医科大学病院救急救命センターにて4年間勤務。東戸塚記念病院整形外科に勤務。2022年5月30日に『本郷台ホームクリニック』を開院(JR根岸線「本郷台駅」より徒歩9分)

誰かを幸せにできることを自らのやりがいに感じて

 進学校に進み、周囲には医学部に進もうという人も多かったのですが、私自身は特段夢もなく、勉強していい大学に入り、いい会社に入って、くらいのことしか考えてなかったのです。「このまま大人になってどうなるのかな」。進路を決める頃になり、そんなことを考えるようになっていきました。「誰かに必要とされたい」。医者であれば、自分が診療をすることで患者さんが長く生きることができたり、幸せにすることもできるかもしれない。自分が生きたことで誰かを幸せにできることは意義のあることだと考えたのです。名古屋市立大学を卒業後、2年間の研修を経て、東京女子医科大学病院救急救命センターに入職しました。救命救急を選んだのは、やはり、必要とされている、という点です。小児科や産婦人科もそうですが、医師が不足していて、いち早く貢献できる道を選んだのです。救命救急の専門医を取得したのち、サブスペシャリティーとして整形外科に進みました。手術自体は非常に興味深かったのですが、どちらかといえば、私は患者さんと話している方が性に合うと思い、次の道を模索していくことになります。実は整形に進む際、並行して友人と「ファストドクター」という救急の往診事業をスタートしていました。日中は整形外科で手術に携わり、夜間は往診に向かう、という形だったのです。その往診事業を評価していただいた方から新しいクリニック開設のお話をいただき、2022年5月に『本郷台ホームクリニック』を開院することになりました。

責任ある医療の窓口として患者さんを診ていく

 患者さんはお子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い層の方々が来院されています。人と人のことですから、相性もあると思いますが、気軽に話ができて、喋ってもくれる。そんな私のキャラクターを良いと思って来てくださっている方が多いのではないかと思います。

 救急科は総合診療科です。そもそも開業医はかかりつけ医であって、ジェネラリストであるべきでしょう。「専門ではないから診れません」と診療を断るようなことはしたくありませんし、そのぶん、しっかりと勉強を続けなくてはならないと思っています。一部、例えば眼科や精神科など、こちらで診ることが難しいものもあります。その際も、「診れないので精神科に行ってください」ではなく、状況を逐一教えていただけるようお願いし、ここでも引き続き診ていくことをお伝えしています。仮に精神科に行って「違いますよ」と言われてしまった場合、その方は行き場がなくなってしまうわけです。患者さんが困らないよう、不安にならないよう、責任を持って診療をさせていただきます。

「訪問診療」「時間外救急診療」にも力を

 『本郷台ホームクリニック』では訪問診療もおこなっています。開院当初は地域のケアマネジャーさんからご連絡をいただいてお伺いすることが多かったのですが、最近になってこちらに通院されていた患者さんが訪問に切り替わるということも増えてきています。

 訪問診療では医療だけではなく、介護の面を考えなくてはなりません。ご自身の生活を営む上では、むしろ医療よりも介護面が重要になってきますので、必然的に私たちの目もそちらに向かうことになります。その影響もあるのでしょう、最近では外来で患者さんとお会いする時もそうしたことを気にかけるようになりました。この方はどなたと一緒に暮らしていて、お薬はどなたが管理しているのだろう、といったようにです。訪問診療が加わったことで、より広い視野で患者さんを拝見できるようになったと思っています。

“その人らしく”、最期まで健康で暮らしていただくために

 これからは、いかに最期まで健康に、“その人らしく”生きていけるか、ということが重要になってきます。救急救命センター在籍時代、まだお若い方がいきなり脳卒中で搬送されてきて、亡くなってしまうというケースを数多く経験してきました。多くの生活習慣病は心がけ次第で治るものです。働き世代の方々の突然死を減らしていくためにも、健康が最も大切な財産ということを認識し、ご自身の身体に気を使っていただければと思います。

 当院では、治療へのモチベーションを保っていただくきっかけとしていただけるよう、GLP-1受容体作動薬を用いたダイエット外来を提供しています。高血圧や高脂血症を指摘されていても、ただ「痩せなさい」と言われることを苦痛に感じ、受診されていない方が多くいらっしゃいます。具体的なアドバイスを実践できる方もいらっしゃれば、頑張っているけどもできない方もいらっしゃるのが現実で、後者の方々のモチベーションを喚起する意味で、お薬の力も借りたダイエットを始めることにしたのです。食事が変われば、痩せることができる。ご自身で実感いただき、最終的にお薬の力を借りないで理想の体重をキープしていただけるようになることを目標としています。抗肥満薬を用いたダイエットは多くの方に有効ですが、誰もが、というわけではありません。つまるところ、自分で生活を変えていく意識を持っていただけないことには続かないのです。ご自身の努力の結果、体重が減り、データ上も健康になると、「卒業」ということになります。「もう大丈夫です。おしまいにしましょう」。そう患者さんにお伝えできる時は、私も非常に嬉しくなります。

地域のみなさんへメッセージ

 困った時の健康相談所としてご利用いただければと思います。何科を受診すべきか、迷われる時もあるでしょう。そんな時も医療の窓口としてご相談いただければ、道筋をしっかりとつけさせていただきます。具合が思わしくない時はもちろん、日常の健康アドバイスを受けるつもりで、気軽にご相談ください。

 

※上記記事は2024年4月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

本郷台ホームクリニック 名倉 義人 院長

本郷台ホームクリニック名倉 義人 院長 YOSHITO NAGURA

本郷台ホームクリニック 名倉 義人 院長 YOSHITO NAGURA

  • 出身地: 愛知県
  • 趣味: マラソン、サーフィン
  • 好きな映画: アクション、SF/『グリーンマイル』
  • 好きな場所: 沖縄、ハワイ
  • 座右の銘: 「医は仁術である」
  • 好きな音楽: 洋楽POP
  • よく手にとる本: 医療関連書籍(栄養学を含む)

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