朝廣 賢哲 院長（朝廣歯科クリニック)のインタビュー

開業から30余年。今も昔も変わらず

　子供の頃から手先は器用でした、歯科医師を目指したのはそれもあったのかもしれないですね。でも、当時はどんな仕事の内容かを、わかるはずもないですが、今となってみれば器用でよかったなと（笑）。

　大学卒業後は横浜市立大学附属病院の口腔外科に籍を置きました。大きな病院でないと学べない、経験できないことが、ありますからね。そして、1990年に『朝廣歯科クリニック』を開院いたしました。ここは、実家のあった場所でした。税理士で事務所を構えてた父と相談し、私が事務所を譲り受け1階で歯科医院を開き、父を2階へ、という形になりました。この辺りの住宅地の歴史はかなり古く、当時ここに家を構えたのは、我が家族も含め、働き盛りの人ばかりでした。あれからもうずいぶん経ちましたから、もうみなさん、退職して後期高齢者になられてます。まあ、私もだいぶ歳をとりました。街と一緒に歳を取ってきています。

最後まで、安全に、美味しく食べられるように

　お若い方も見えますが、患者さんの中心はご高齢の方々です。高齢になってくると、歯周病も進み、歯の本数も減り、誤嚥性肺炎への懸念も高まります。ですから、最期まで安全に、美味しく食べれるようなお口を作ることが最優先となります。世間一般でも口腔機能低下症が注目されるようになっていますし、最後まで食べられるお口を作っていくこと、健康寿命を伸ばすとは国の課題とも言えます。

　虫歯を治す、歯周病を治療する。それはもちろん大事なことです。人間というのは、食べられなくなってしまうと生きていけないわけですから、最後まで食べられるお口を作れるよう取り組むことは、私たち歯科医師に課せられた責務と認識しています。

二人三脚の訪問歯科診療

　もう十数年前になるでしょうか、訪問歯科を始めたのは。当時は神戸の大震災を契機に「誤嚥性肺炎」への注目度が高まり、同時に口腔内ケアの重要性が着目されるようになった時代でした。　　　　　　　　　　　　　　　　　

　今は訪問歯科を専門にされているクリニックもありますが、やはり元気なときに診てきた患者さんは最期で自分で診る、ということは基本ではないでしょうか。「初めまして」と行くよりも、「久しぶり。元気でした？」とお家に伺うのが、本来の姿だと思うのです。

　当院は妻も歯科医師なものですから、訪問歯科は妻が中心となって取り組んでいます。嚥下内視鏡を用い、嚥下評価をする場合などには私も立ち会います。基本的には妻が一手に引き受けて診療に行ってくれています。女性の患者さんは、やっぱり女性の方が話をしやすい面はありますよね。だからでしょう、私のクリニックでは余裕をもって治療行っているので1時間、患者さんと「話し込んじゃった」ということも聞きます。歯科医師が2人いることで私たちは恵まれていると思いますし、患者さんも同じように思っていただけていると嬉しいですね。

私やスタッフが「仕事をしていて楽しい」と思える歯医者さんで

　治療のすべての工程に携わっていけるようにと考えています。実際に少し前までは、治療はもとよりスケーリングまで私がすべてを診ていましたが、スケーリングに関しては専門家である歯科衛生士に任せることも増えてきました。ただ、今でもクラウンやインレーなどの技工物はすべて私が製作しています。診療室いる時間がながくなりますが、単純に作るのが好きですし、歯科の治療そのものが好きなのです。仕事に行きたくないと思ったことは一度もありませんし、充実した日々を送っています。スタッフも笑顔が絶えないので、居心地が良いと感じてくれてるのでしょう、20年、25年と長く続けてくれているベテランばかりです。働く人の「顔が変わらない」というのは、患者さんにとっても安心材料だと思います。

地域のみなさんへメッセージ

　最期まで安全に、そして美味しく食事を食べていただけるよう、できる限りのことをさせていただきます。それを一緒に目指すには歯科なんだと患者さんに認識いただければ嬉しく思います。お口のことで何かお困りのことがありましたら、何なりと気軽にご相談ください。

※上記記事は2023年8月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。